2025/07/03

2025年参議院議員選挙へ向けて「高等教育費負担軽減を求める」声明

 大学・短大・専門学校に通う学生にとって、高等教育費の負担は深刻さを増しています。
 2024年、全国大学生協連が全国の国公立および私立大学の学部学生に実施した「第60回学生生活実態調査」によれば、自宅生の場合、1ヶ月の食費は2021年の1万540円から2024年の1万4340円へと増加しました。下宿生の場合、1ヶ月の食費は2021年の2万4680円から2024年の2万6110円、1ヶ月の住居費は2021年の5万3920円から2024年の5万6090円へとそれぞれ増加しています。物価高が続くなか、学生生活にかかる費用が増加していることが分かります。
 また、物価高の影響は大学の学費上昇をもたらしています。株式会社アイガーが、全国の私立大学577校3,801学科の学費を調べたところ、2025年度、初年度納入金で844学科(107校)、卒業までの総額で24%の906学科(116校)が値上げしていることが明らかになりました。
 そして、親からの経済的支援が減少するなか、2010年代以降、学生のアルバイトが増加しています。1カ月の生活費に占めるアルバイトの額を見ると2012年は自宅生が3万30円、下宿生が2万3100円でした。これが2024年には自宅生が4万6060円、下宿生が3万7540円まで増えています。特に注目すべきはアルバイトで「月7万円以上」の収入がある学生で、その割合は、自宅生は2015年の11.9%から2024年の19.8%、下宿生は2015年の6.9%から2024年の14.6%へと、それぞれ大幅に増加しています(全国大学生協連「学生生活実態調査」)。アルバイトの大幅な増加は学生生活を圧迫し、学生の学びに悪影響を与えています。学生の学びを充実させるためには、高等教育費負担軽減は喫緊の課題です。
 私たち「高等教育費負担軽減プロジェクト」は2024年5月から、「高等教育費や奨学金返済の負担軽減のため、公的負担の大幅拡充を求めます!」を開始し、2025年2月18日、団体賛同3,486団体(最終集約2025年1月31日)、個人署名33,163筆(第二次集約2025年2月17日)を取りまとめて文部科学省へ提出、要請を行いました。
 当事者である学生からも声が上がっています。2024年、東京大学、広島大学の学費値上げの動きが明らかになった後、学生による学費値上げ反対運動が急速に広がりました。2025年5月8日、衆議院第二議員会館で「【緊急】2026年度学費負担軽減! 高等教育予算拡充を求める5.8院内集会」が開催され、現役学生と大学教員が、学費負担軽減へ向けて高等教育予算拡充の重要性を訴えました。
 急激な物価高による学生生活のひっ迫は、深刻な事態を招いています。2025年7月20日に行われる第27回参議院選挙では、各政党による政策論争を通じて、学費の引き下げ、高等教育の修学支援制度の支援対象の拡大、奨学金制度の改善など、高等教育費負担軽減へ向けての議論が深められ、その後すみやかに実行されることを強く求めます。

以上