私たち「すべての人が学べる社会へ 高等教育費負担軽減プロジェクト」は2月13日17時30分から参議院議員会館101会議室において、高等教育費の負担軽減を求める院内集会を開催しました。
冒頭、司会の南部美智代さん(労働者福祉中央協議会事務局長)は、今国会でおこなわれる大学等修学支援法の改正は一歩前進ではあるがまだまだ不十分であること、またこの間、私たちが行ってきた署名活動については団体賛同3,486団体、個人署名33,129筆が集まり、3月18日に文部科学省に提出予定であることを報告しました。
続いて大内裕和さん(武蔵大学教授)は、2013年の「奨学金問題対策全国会議」結成以降の運動の経過が紹介され、急速な少子化は高額な教育費負担がその一因になっていること、にもかかわらず行われている東京大学、広島大学などの学費値上げの動きは許しがたいものであり、多くの大学生たちが反対の声を上げていることを報告しました。このような状況を変えるために、2024年6月には「すべての人が学べる社会へ 高等教育費負担軽減プロジェクト」を結成し、①授業料を半額に②大学等修学支援制度の拡充を③奨学金返済の負担軽減を、の三点の実現を求めて取り組みをすすめてきたことを述べたうえで、今後も継続する個人署名についてさらなる協力を呼びかけました。
続いて多くの国会議員のみなさんからご発言をいただきました。以下にご紹介します。(発言順)
水岡俊一参議院議員、岸まきこ参議院議員、柴田勝之衆議院議員、眞野哲衆議院議員、古賀千景参議院議員、宮口治子参議院議員、小山千帆衆議院議員、高松智之衆議院議員、尾辻かな子衆議院議員、西村智奈美衆議院議員、吉良よし子参議院議員、柚木道義衆議院議員、松木けんこう衆議院議員、下野幸助衆議院議員、松下玲子衆議院議員、森山浩行衆議院議員、堀川あきこ衆議院議員、大椿ゆうこ参議院議員、三上えり参議院議員、辻英之衆議院議員、近藤昭一衆議院議員、高橋永衆議院議員、大河原まさこ衆議院議員、吉田はるみ衆議院議員、福島みずほ参議院議員、岡田悟衆議院議員、篠田奈保子衆議院議員、日野紗里亜衆議院議員
このほか、多数の自治体議員、国会議員事務所の秘書、政党職員の皆さんにもご参加いただきました。
国会議員の発言とあいまって、プロジェクトのメンバーや署名の呼びかけ人によるリレートークを行いました。
室橋祐貴さん (日本若者協議会代表理事)は「今回の大学等修学支援法の改正で多子世帯への支援を拡大することに反対ではないが違和感を覚えている。本来は少子化対策ではなく、学生の人権保障がベースにあるべきだと考えている。授業料が高額な中でアルバイトをせざるを得ない状況など、目の前の厳しい状況の中で貴重な学生生活が失われていっている。学生本人がちゃんと学べる環境をつくることが大切で、そのような視点から国会での議論をお願いしたい」と発言しました。
岩重佳治さん (弁護士)は「貸与型奨学金は、将来の仕事や収入がわからない状態で借りることになる。であれば、当然、制度の中に最初から返済できないリスクを組み込んでおくべきであり、十分な救済制度が必要だが、そうなってはいない。それでも日本学生支援機構の貸与型奨学金は、返還期限の先延ばしなど幾分条件が緩和された。これは党派を超えた政治の力によるものであり、政治に対する期待が高まっている。奨学金の返済に苦しんでいる人たちは「借りたものを返すのが当たり前」という考え方の前に、孤立して苦しんでいる。政治の力で十分な救済制度をつくっていくことは、その人たちに対して、「あなた方は孤独ではない」ということを伝えるメッセージにもなる。ぜひ国会で十分な議論をお願いしたい」と発言しました。
稲葉剛さん (つくろい東京ファンド代表理事)は「生活困窮者の支援に取り組んでいるが、コロナ禍以降状況が一変して、10代、20代の若者が多く相談に訪れるようになっている。親からの援助を受けることができない中で、路上生活を余儀なくされた人、大学を中退せざるを得なかった人が多くいる。私たちとしては、まずは住宅の支援、生活の支援を行っている、その先に、もう一度学びなおしたいと思っても、教育費があまりに高い現状の中で現実的な選択肢として提示できない状況がある。若者たちにセカンドチャンスを提供できないこの国の状況を、ぜひ皆さんとともに変えていきたいと思っている」と発言しました。
小澤浩明さん (東洋大学社会学部教授)は「私の教えている学生から、大学院に進学するためにアルバイトを増やしたいので授業を受講するのをやめたいという相談があった。現場ではこのような本末転倒な話が起きている。教育費に関して「受益者負担」という考え方がベースにあることが諸悪の根源だ。教育は単に本人の利益のためにあるわけではなく、社会のためになるものだ。国際人権規約では、高校と大学を段階的に無償にすることを定めている。 いまや学費の無償化は世界の流れになっている。政治と市民とが力をあわせて実現していこう」と発言しました。
こののち、当事者からの声ということで、金澤伶さん(東京大学・学生)から発言をいただきました。金澤さんは、衆議院第二議員会館で開催された、学費値上げ阻止、教育費無償化をもとめる学生たちの集会について報告しました。集会では、国立私立問わず地方からも15大学の学生が駆けつけたことや、要請書に、各地の大学で決まっている値上げを撤回させるための予算措置や、給付型奨学金の拡大を盛り込んでおり、116の大学の学生などがこれに賛同してくれたことを紹介し、運動が大きなうねりとなっている状況について話しました。「学びたくても教育機会を奪われている学生が多くいる。この流れを変えていきたい」と発言するとともに、全国各地の学生の声を紹介しました。
最後に閉会にあたり、渡辺由美子さん (キッズドア理事長)が発言しました。渡辺さんは、いま、子どもの自殺が増えており、支援をしている家庭でも子どもが自殺をしてしまった家庭があることや、日々の生活が苦しい中で、教育費が高く、進学をあきらめてしまう子どもたちが多くいる現状について話しました。「できる範囲の支援をして、高等教育の新制度も活用して進学してもらおうとしているが、そのようなこどもたちも、卒業できないのではないかとか、生活ができるのだろうかとの不安を抱えている」という現状も報告しました。しかし、「ほとんどの子どもが大学に入ってよかったと言っており、自分で好きなことが学べるということがどれほど貴重なことか、あらためて実感している」と話し、集会にたくさんの方にお集まりいただいたことに対する感謝とあわせて「ぜひ皆さんと協力して、子どもたちの未来のために、高等教育の負担軽減を勝ち取っていきたい」との発言で、集会を締めくくりました。
なお、集会の参加者は延べ138人であり、YouTubeの視聴者は2月14日現在、100 回となっています。多くの皆さんの参加に心から感謝申し上げます。
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